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試験装置お披露目

 ポリテクカレッジ滋賀に最新鋭の静的加力試験装置が導入されました。そのお披露目をかねて、6月25日に少しかわった実験を行いました。込栓だけで構成したフレームに4寸角の差鴨居、そこに建具を入れて、終局状態での建具の挙動を観てみようというものです。大地震時に建具が効いて倒壊や死亡を免れたといったことは話では聞いていても、実際どのくらい効果があるのかについて数値を言える人は、きっと居られないと思いいます。建具の種類は紙貼り障子と框戸の2種類です。当然のことですが、引き戸は嵌めるために上下方向にクリアが3ミリほどありますから、建具の強度が出現するのは変形角が30分の1radあたりになってからです。しかし、15分の1rad以上の変形角になると、障子で1kN、框戸で1.5kN(数字は正確ではありませんが)ほどの耐力がでていました。最後は6分の1radまで押し切ってみたのですが、差鴨居のホゾが抜けたにもかかわらず、框戸は耐力を発揮しています。つまり木組み部分が多いほどより大きな変形に追従できるということだと思います。
 今回の実験では、フレームを宮内建築(宮内寿和さん)、建具を湖南市の山元建具店(山元克司さん)が製作を担当していただいたのですが、建具の強度を測ること自体、あまり例がないでしょうし、やはり造る側としては少しでも強くといった気持ちも働くと思います。差鴨居は込栓と鼻栓でガッチリ効いていますし、框戸の框は地獄ホゾをダブルで差してあります。ですからこの実験の結果で建具や差鴨居がこんなに強いと考えるのは間違いだと思います。しかし、実験を目の当たりにした人は数値に現れていない崩壊のメカニズムのようなものを感じていただけたと思いますし、建具を含むさまざまな要素が限界まで総持ちすることが伝統的工法のすごさなのです(これは鈴木有先生に解説していただいたうけうりです。)。実験終了後に試験体を解体しました。建具もフレームも各部に少しのめりこみが見られましたが、そのまま組みなおせば再使用できそうです。差鴨居のホゾが割れましたが、これについては縄を巻く(今の技術では炭素繊維といったところでしょうか)ことで再使用できるとのでした(これも鈴木先生の解説です。)。なんてエコなんでしょう。
 実験にはたくさんの方に参加、協力していただきました。鈴木有先生、ポリテクカレッジ滋賀の安藤先生、大沢先生、滋賀県建具共同組合理事長の松田尚久さん、千葉の古民家工房を始め、職人がつくる木の家ネットの皆さん、そして、ポリテクカレッジ住居環境科2年生など、総勢40人以上に集まっていただきました。とくに学生さんにとっては、大変貴重な鈴木先生の講義を聞くことができて、刺激になったことと思います。よい実験機器が導入されたことをきっかけに、研究者・教育機関と実務者が協力して建築技術の発展と解明が加速されることを願うばかりです。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2008-06-26 11:50 | カレッジ実験