カテゴリ:雑感( 35 )

 

長かった~~~。

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 「日本一のおかき処」で有名な播磨屋本店が豊ノ岡工場(兵庫県豊岡市)の敷地内に三重塔を建立されます。構造設計の依頼をお受けして、モデルとなった斑鳩寺の三重塔を見学したのが、平成24年2月1日でした。あれから約2年、ようやく建築確認申請が提出できるまでにこぎつけました。どうしてこんなに時間がかかったかというと、主たる原因は限界耐力計算が使えなかったからです。根拠なく限界耐力計算でいけると考えていたわけではありません。日経アーキテクチャの2011年9月25日号に大成建設が設計施工した法然寺五重塔が紹介されています。この中に限界耐力計算を採用し工作物として申請したと書いてあったからです。天下の大成建設が言っているのだから大丈夫だろうと・・・。ところが兵庫県に問い合わせてみたところ、工作物には限界耐力計算のルートがないので、仕様規定を守れないのなら構造評定+大臣認定しかないといわれました。人間が中に入る建築物なら限界耐力計算でよいのですから、多分、建築基準法のミスだと思うのですが、法律ですから仕方ありません。やったことのない時刻歴応答解析で大臣認定を取得することになりました。
 まず解析ソフトを探しました。偶然、ナストランという有限要素法のソフトが借用できたのでモデル化をはじめました。6か月やりましたが、結局まともに動かすことができませんでした。ソフトについてはその後、鈴木祥之先生に助けてもらい、なんとか切り抜けました。耐震設計をする場合、建物重量はとても重要です。ところが、三重塔は形状が複雑で重量がわかりません。そこで3次元CADに入力して体積を計測することにしました。この作業は、所員が3か月かかりきりで入力してくれました。
 そもそも時刻歴応答解析とはどういった解析方法なのでしょう。地震波をモデル化した建物に入力して時刻ごとの変位を計算するものです。もちろん電卓では計算できません。通常は60メートルを超える超高層建築の設計に使われていて、東京スカイツリーもこの方法で設計されているはずです。こんな高度な解析をするのですから、適切なモデル化と地震波、そして建物重量さえそろえばできたも同然だと考えていたのですが、そうは問屋がおろしません。時刻歴応答解析を使うのは耐震設計の2次設計だけで、耐震設計の1次設計とその他の設計は許容応力度設計が必要だったのです。当たり前といえば当たり前ですが。
 なんとか計算書をまとめて審査機関に相談に行ったのが24年12月17日でした。そこで驚愕の言葉を耳にします。「そんなん勝手に建てたらええのに・・・」。しかしそういうわけにもいかず、大量の指摘事項をいただいて帰ってきました。計算書を直しだすと間違いに気づき、間違いを直すと勘違いに気づき、といった具合でなかなか収束しなかったのですが、ようやく25年6月11日に評定の受付委員会に上げてもらいました。通常の評定では受付委員会の後、部会が2回程度開かれて報告委員会に報告という感じですので、2か月程度で処理されているとのことでした。しかし今回は部会が7回開かれ、審査機関の最高記録を更新したとのことでした。部会が行われるたびに質疑事項が増えていき、もう一生終わらないかもと思うほどでした。建設地は1.5メートルの多雪区域なので、落雪の衝撃力や巻き垂れなど、検討方法のないことについても検討を要求されました。また、柱脚が浮き上がり量を予測したり、その後着地した時の衝撃力に対して安全かなど・・・。高校生の物理レベルで大学教授を納得させられるはずもなく、最後には結構助け舟をだしてもらいました。
 11月16日に開かれた第7回部会ですべての質疑が処理でき、11月26日に報告委員会で報告していただきました。その後、審査機関の審査を経て26年1月10日に国交省に申請し、3月3日付けで大臣認定をいただきました。この三重塔には日本で初めてのことがあります。文化財でない新築の塔は当然のことながら建築基準法を守らなければなりませんので、これまで建立された文化財でない塔には塔体に金属によって補強がされていると思います。文化財でも補強されているものがあるくらいです。しかしこの塔には、芯柱の相輪部分と4隅の柱脚にはめた割れ止めのタガ以外、金属の補強は一切なく、伝統構法そのものです。もちろん柱脚は石の上に乗っているだけの石場建てです。それにしてもよく評定が下りたものだと思います。塔が安全なのかどうかは今のところ誰にもわかりませんが、それでも安全だといってもらえたのは多分、部会の先生や審査機関の担当者の方々の粋な計らいなのだと思います。長く苦しい2年間でしたが、終わってみれば結構充実していました。最後になりましたが、鈴木祥之先生をはじめ、斉藤幸雄先生、後藤正美先生、上谷宏二先生、宮本裕司先生、清水秀丸先生、瀧野敦夫先生、播磨屋三重塔研究会の先生方、審査機関のみなさん、そのほかここに書ききれないほどのご指導いただきました先生方、本当に感謝しております。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2014-03-10 19:36 | 雑感  

理事長現る(伝統技法研究会編)

29日の土曜日に伝統技法研究会の取材を受けるため、理事長にわざわざ東京から戻ってきていただきました。まずは事務局にて水中乾燥に関するひととおりのレクチャー、最新の情報をお話ししてから、甲賀森林組合と溜池を視察して頂きました。

和やかな雰囲気ですが、話の内容は凄いレベルです。
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森林組合の倉庫に置いてある水中乾燥材です。奥の上段は人工乾燥のもの。同じスギとは思えません。違いが歴然ですね。
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伝統技法研究会の御3人はその後、奈良で取材とのことでした。ほとんど手弁当とのことで、伝統技法研究会の方の熱心さにもとても熱いものを感じました。遠路、ありがとうございました。
久しぶりに甲賀・森と水の会っぽい投稿でした。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2013-07-01 09:57 | 雑感  

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
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去年も伝統構法一色といった一年でした。そして何よりも大きな出来事だったのが、三重塔の構造設計に取り掛かったことです。はじめは手探り状態でしたが、ようやく構造システムがわかりかけてきたところです。予定では昨年に完了しているはずだったのですが、不測の事態が頻発したため、現在、必死のパッチ状態です。加えて伝統構法委員会も大詰めで、実験の報告書や計算事例の作成など、やらなければならないことが山盛りです。ということで、長めだったお正月休みもすべて返上して作業を続けていました。(飲みながらですけど)
3月でまとめられる設計法ですが、標準設計法が結構いい感じです。計算はほどよく面倒臭いので架構を理解してからでないと取り掛かれないのですが、ほぼ四則計算だけでOKです。一定の制約があるものの、石場建てもできます。あとはこの設計法に国交省のお墨付きがもらえるかだけです。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2013-01-06 19:36 | 雑感  

理事長現る(滋賀県建築士会女性部篇)

またまた滋賀県に理事長が現れました。実は今回は滋賀県建築士会女性部の見学会です。男性も混ざって15名程度でしょうか。貯水池と休耕田の溜池を見学、場所を変えて理事長の講義、その後宮内建築作業場に移動して、製材となった水中乾燥材を見て頂きました。今回は時間の都合で一部端折ったところもありましたが、ほぼフルコースで水中乾燥を味わって頂けたと思います。本当は水中乾燥材の建築が上棟しているところを見て頂く予定でしたが、宮内さんの凝り性が出て、すっかり遅れてしまいましたので、今回は取り止めにしました。上棟後に構造見学会を行う予定ですので、興味のある方はお越しください。(川端建築計画 川端眞)

貯水池で森と水の会監査の長坂さんと
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これから講義です。今回もバージョンアップされてますが、気の弱い発言は相変わらずでした。
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宮内建築作業場にて。宮内節、少しだけ炸裂。
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by moritomizunokai | 2011-11-27 20:18 | 雑感  

耐力壁ジャパンカップ参戦記

長らく更新ができていませんでした。仕事はあまり忙しくないのですが・・・。
 10月9日、10日に富士市の日本建築専門学校で行われた「第14回 木造耐力壁ジャパンカップ」にポリテクカレッジ滋賀で出場しました。簡単にルールを説明すると、出場16チームで予選があり、8チームに絞られます。この8チームに残らないと賞に該当しません。残った8チームでトーナメント戦を行い、優勝したチームが「トーナメント優勝」という賞を獲得します。この他に、耐震部門賞、デザイン部門賞、加工・施工部門賞、環境部門賞、そしてそれらの評点を総合した、ジャパンカップ総合優勝があります。8月から予備実験を重ねてきて、予選を突破しさえすればそこそこの評点になる予測はあったのですが、予選で敗退すれば点数がつかないので、対戦相手が決まるまでは生きた心地がしません。
 予選はくじ引きでポリテク秋田に決まりました。ホッと一安心(秋田さん、スミマセン)。右が秋田さんです。
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 決勝トーナメントではトーナメント優勝を果たしたポラスとの対戦となりました。はっきりいって全く刃が立ちませんでしたが、評点には有利になりました。なぜなら耐震点は最大耐力ではなく荷重変形の履歴面積ですから、変形性能の高い我々の壁には十分に固い壁に引っ張ってもらうのがよいのです。結果は予想通り・・・。
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ポラスの壁はほとんど変形していません。
 ところでこの大会には木造の大御所と呼ばれる先生方が多く参加されています。主催者側でもある東大の稲山先生、東京都市大の大橋先生、京大の小松先生・・・、蒼々たる面々ですが、それぞれの壁に工夫がみられます。なんといっても感動ものだったのは稲山先生の「紬」(下の写真右)です。見れば見るほどよくできていました。土台にウリンを使っている以外は文句の付けようがありません。トーナメント戦では耐力でポラスに負けましたが、ポラスの壁は破壊してしまいましたので、実際には紬の勝ちです。
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因みにポラスの壁は金物をふんだんに使っています。東大木質研(稲山先生)、大橋研、小松組、いずれも金物は使用していませんが、大橋研は柱脚にLVLを使用しています。小松組は圧縮木材を使用しています。ちょっとズルです。
 最終成績は、ここにのっています。下から3段目、ダイアゴナル(綾織りという意味)です。滋賀県立大と間違わないでね。
 結局、初出場で金物や外材、EWなどを一切使わず、地元産の天然乾燥材だけで作り、施工にプロを雇うこともなく、総合2位は誇れる結果だと思います(優勝以外は表彰されませんが・・・)。
 有意義な経験をさせていただいたポリテク滋賀の大澤先生、ゼミ生には大変感謝しております。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2011-10-21 15:57 | 雑感  

理事長現る at 名古屋

久しぶりの更新です。タイトル通り、理事長が名古屋に現れました。実は「緑の列島 木の家スクール名古屋」に講師として理事長と宮内さん、私を呼んで頂きました。いつものようにマイペースで淡々と語られる理事長の話は、着実にパワーアップして「乾燥のことはまかしとき!」状態です。実験も昔のようにいい加減ではなく、データに説得力がありました。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2011-06-19 08:12 | 雑感  

行動力

まずはこのたびの大震災に遭われた方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。あまりの惨状に何も言えずにおります。そんななか、今日の新聞に力強い記事をみつけました。陸前高田の大工棟梁が被災した近隣の人と一緒に集団生活をしているというものです。今でも大工棟梁は地域のまとめ役として皆に慕われているのですね。自分の大工技術を生かして炊事場や風呂場までつくったとか。そして、副理事長の宮内さんも災害発生直後に道なき道を単独で支援物資を届けておられます。結局、最後は動物としての生き抜く力が重要だということでしょうか。みんなが評論家になっているなか、この行動力(サバイバル能力?)には感心させられます。さて私には何ができるのか・・・。(川端)
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by moritomizunokai | 2011-04-05 14:17 | 雑感  

スイスバーゼル

今日はリオンからスイスへの移動日です。スイスへ入ると建物が積石造から木造へと一変します。バーゼルの目的はピアノの美術館を見るためでもあるのですが、もうひとつ大きな理由があります。実はバーゼルからロンシャン礼拝堂が意外と近いのです。こうすることでロンシャン礼拝堂がゆっくりと見学できるわけです。今日はピアノのパウル・クレー美術館を見ました。ナッシャー彫刻センターなんかに比べて大味ですが、さすがです。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2011-03-11 07:36 | 雑感  

リヨン

今日はコルビュジエの教会3部作の2つを見に行きました。ラ・トゥーレット修道院とサン・ピエール教会です。
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そしてリヨンに戻ってから、夕食を兼ねて散歩へ旧市街地へ散歩へ出かけました。無駄な光がないので、夜景が映えます。
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そしておいしいフランス料理とワインでリヨンの夜は更けていきます。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2011-03-10 08:33 | 雑感  

お幸せに

視察2日目です。コルビュジエがラ・トゥーレット修道院を設計する際に参照したと言われるル・トロネ修道院など、ロマネスク様式の修道院をみてまわりました。装飾を廃した簡素な形に美しさがあります。写真はセナンク修道院です。
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途中、プロヴァンスを代表するゴルドの街をバックに記念撮影です。そうなんです。この視察は二人の新婚旅行でもあります。どうか末永くお幸せに。
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そしてこちらは宮内さん。どこでも馴染んでしまいます。ここはアプトという城砦都市です。携帯電話で家族に定期連絡中です。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2011-03-09 08:08 | 雑感