伝統的工法の実大振動実験

去る11月26~28日と12月2~4日に三木市のEディフェンスで行なわれた伝統的工法の実大振動実験に行ってきました。先に都市近郊型のB棟、後が地方型のA棟です。それぞれJMA神戸波100%の加振が一般公開がされましたが、いづれも実験の一部です。公開後、B棟は再度、JMA神戸波100%を、A棟はJR鷹取波100%の加振が行なわれました。


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こちらがB棟の写真です。B棟は倒壊にはいたりませんでしたが、柱が折れてしまいました。


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こちらはA棟です。完全に倒壊してしまいました。

さて、なぜA棟が倒壊してしまったのでしょうか。詳しい検討は先生方がされると思いますが、私なりに考えてみました。まず、
1.加振波が違いました。構造物の被害は、最大加速度に比べ最大速度と良い相関があるといわれています。JMA神戸波の最大加速度は891ガル、最大速度112カインですが、JR鷹取波は最大加速度759ガル、最大速度169カイン(いずれもXYZ3成分)です。もう既にお気付きかもしれませんが、JR鷹取波は長周期振動ですので、特に耐力を失った木造軸組には不利なことがわかります。次に、
2.A棟とB棟の仕様が違います。伝統的工法の最後の砦は木と木の交差部のめりこみだと思います。B棟は柱の上下に横架材があり、土壁にも厚い貫が入っていました。これに比べてA棟は変形を抑制する土台も足固めもありません。貫も薄く、土壁が落ちたあとに建物の変形を抑制するように働くのは差鴨居です。これでは捏ねる前に柱が折れてしまいます。ついでに言えば、建物の重量も大きく違います。B棟の32.4トンに対してA棟は37.5トンもありました。

B棟もJR鷹取波を加振していれば倒壊していたと思いますが、A棟よりは頑張ったのではないかというのが私の感想です。A棟が倒壊してしまったことで、多くの大工がショックを受けておられるようでしたが、私の感じ方は全く違います。A棟B棟両方に共通するのが、柱がおれていることです。梁の損傷はほとんどありません。これが伝統的工法の最大の弱点だと思います。柱が先に損傷することは建物の倒壊を意味します。伝統的工法に特に大きな期待をするのではなく、あの壊れ方を見て、何処が壊れてはいけないのか、何処は壊れてもいいのか、どうすればそれを制御できるのかを冷静に考えればよいのだと思います。毎日木に触れている大工ならば、そんなに難しいことではないと思いました。(川端建築計画 川端眞)
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by moritomizunokai | 2008-12-14 18:34 | 雑感  

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