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実験結果の速報(あまり早くありませんが・・・)

1月14日にポリテクカレッジ滋賀で行いました実験の速報です。一体目は新しい軸組の復元力特性の測定を行いました。この試験体は2006年度のNPO実験でできなかったものを少し改良したもので、貫の耐力と貫をウェブ材に見立てた合成梁をひとつの仕口で構成する構造です。1/450、1/300、1/150、1/120、1/100、1/75、1/50、1/30、1/15の変形角を押し引き各3回繰り返した後、1/7.5まで押し切りました。
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1/120での復元力はおおよそ1kNでした。中央の柱と両端の柱の耐力比を2:1とすれば、柱1本あたりの復元力は500N、壁倍率換算では0.91メートル毎に柱がある場合、0.2倍程度となります。1/15での復元力は約3kNですので、 柱1本あたりの復元力は1.5kN程度と考えられます。
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結果はグラフの通りで、1/15を超えたあたりで柱頭が破壊してしまいました。その後、変形角が大きくなっても耐力が落ちないことが木組みの不思議なところです。柱頭が破壊しているのですから、柱の頂部に仕込んだ貫が効かないはずですが、下弦材と柱や貫とがお互いにめり込んでいつまでも耐力が下がりません。これには完全に予想を裏切られてしまいました。
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実験をすることによってこの軸組の弱点もわかりました。貫上部の寸法が少ないこと、上弦材、下弦材と貫のずれ止めの切欠きが小さいことなど、ちょっとした改良で耐力が増加することが判明しました。この結果を受けて、改良版の試験体で追加実験を行い、さらに踏み込んだ論文を目指すとのことでしたので、続報を楽しみにしてください。

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続いて二体目の実験を行いました。こちらは貫の位置の違いによって復元力特性に差がでるのかを検証しようというものです。柱に6箇所の穴をあけ、貫の位置を変えながら復元力特性を測定しました。貫を横架材にもっとも近く配置したtype1から中央部に寄せて配置したtype3の3パターンで、フレームの影響を排除できるように小変形と大変形をわけて実験しました。小変形は1/450、1/300、1/150、1/120で押し引き各3回繰り返した後、大変形の1/100、1/75、1/50、1/30、1/15を押し引き各2回繰り返しました。すべてのtypeで小変形を測定してから、大変形の実験を行ったのですが、小変形時にフレームの影響が少なからず出ているようです。数値では2から3割程度の耐力差しか見られませんが、実際にはもう少し大きな差があると思います。type1では小変形、大変形にかかわらず耐力が小さい。type2は小変形に有利で大変形ではtype3より弱い。type3はその逆で、大変形時に有利なことがわかります。この実験についてももう1体同じ実験を繰り返すとのことですので、もう少し有意なデータになると思います。
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今回の実験にも鈴木有先生が参加して下さいました。他に予定が重なっておられたのにもかかわらず、この実験を優先していただき、実験方法や崩壊のメカニズムについても逐一解説していただきました。どんな実験であってもその場に立ち会って、数値の情報だけでなく、局部的なめり込みを見たり、木が滑る音を聞いたりすることで、文章に書ききれない多くのことがわかってきます。そしてその仕組みを先生に言葉にしていただけることで知識として整理できます。本当に有意義な一日になりました。(川端建築計画 川端眞)

by moritomizunokai | 2009-01-25 13:42 | カレッジ実験  

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