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定成政憲先生

大変久しぶりの投稿となってしまいました。非営利活動法人甲賀・森と水の会は会長が職業能力開発大学校に転勤されてから、活動が停滞しておりました。昨年、会長が定年退官され滋賀へ戻られると聞き、また活動が再開できると喜んだものです。ところが今朝、訃報がとどきました。職業能力開発大学校名誉教授定成政憲先生(66歳?)が永眠されました。定成先生と私の出会いは1999年(平成8年)に遡ります。先生がまだポリテクカレッジ滋賀で教鞭をとられていた時です。私の事務所で最初に採用した所員も先生からの紹介です。その後、宮内さんや学生とも一緒に、木材活用、特に水中乾燥について毎週のように活動しました。先生のご指導と探求心がなければとてもできないことばかりでした。また、建築初学者のために構法の教科書をつくることになったことがありました。先生は木質構法を担当されました。このプロジェクトは大人の事情でなくなってしまったのですが、私のパソコンの中には先生が担当された木質構法の第1章が残っていましたので、ここにアップロードします。木材愛にあふれた素敵な文章ですが、これがプロジェクトがボツになった原因とも・・・。これまでたくさんのことを教えていただき、ほんとうにありがとうございました。安らかにお眠りください。合掌。
川端建築計画  川端 眞
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# by moritomizunokai | 2023-09-19 15:57 | 雑感  

ヘリテージマネージャーって何?

3月1日の毎日新聞に「ヘリテージマネージャーって何?」という記事が掲載されました。有名な文化財はしっかり保護されていますが、名もなき歴史的建造物はその価値とは関係なく解体されてしまうことがよくあります。それらの保護を担うのがヘリテージマネージャーの役割です。滋賀県でも建築士会が育成講座を始めて、これまで92名のヘリマネが誕生しています。耐震診断や補強計画をする際、構造的な視点だけで行うと建物の価値を下げてしまいかねませんし、そのような残念な補強は文化財でもよく見られます。建物にとってどうするのかを総合的に判断できるプロフェッショナルとしての資格として、ヘリマネが認知されると良いなあと思います。(川端建築計画 川端眞)
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# by moritomizunokai | 2018-03-06 11:33 | 木造住宅のこと  

熊本地震の調査報告

 この度の熊本地震で被害に会われた方にまずは心よりお見舞い申し上げます。去る5月3日から5日にかけて職人がつくる木の家ネットで組織された熊本地震の調査に参加しました。主として伝統構法建物の被害状況を調査するためです。
 建物被害には大きくふたつに分類できそうです。ひとつは地盤の崩壊によるもの、そしてもうひとつは建物自体がもつ耐力不足等の問題によるものです。
 地盤の崩壊はさらに大きくふたつに分類できます。ひとつは造成地の崩壊や地割れによる基礎の崩壊、そしてもうひとつは地盤の液状化による建物の沈下や傾斜です。前者は建築時に対処することは極めて困難ですが、後者は地盤調査が一般的ではなかった頃の建物に顕著な被害が出ているようであり、地盤改良を施すなど(既築の建物には困難ですが)建築時に対処が可能です。

写真1 地盤の崩壊1
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写真2 地盤の崩壊2
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 山間部の石積み擁壁が崩壊している光景はあたかも昔ながらの山間部の集落が地震に弱いといった印象を与えますが、ヒアリングをしてみるとそうではないことがわかりました。今回調査した大切畑地区などは100年程度前から人々が暮らし始めたとのことであり、地震の発生周期からすれば、安全を確認していなかったと言わざるを得ません。つまり伝統的な集落は数百年の歴史を経て安全性を確認しているからこそそこに住み続けていると考えられます。そういう意味では100年程度しか人が暮らしていない地域というのは言うなれば新興住宅地です。さらに悪いことに、現代のような造成技術が発達していなかったことから簡素な石積みで無理な造成をしており、このことが被害を拡大させたと考えられます。

写真3 地盤の崩壊による建物被害1
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写真4 地盤の崩壊による建物被害2
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写真5 地盤の崩壊による建物被害3
(事情により非表示にしています)

 建物自体の耐力不足については、現行の建築基準法を守れているかどうかではっきりと運命が分かれると言わざるを得ません。現行の基準(2000年)を守っているであろう建物で耐力不足が原因と考えられる倒壊はみられません。逆に言えば、それ以前の建物はプレファブ造でも大きな被害が出ているものもあり、構法による差異はあまりみられません。仕様規定であれ限界耐力計算であれ、きちんと法律を守って建てることが最も重要ですし、それ以前の建物は耐震補強を施すことが重要です。新しい建物で唯一、小屋部分が倒壊しているものが複数みられました。熊本では野路板に構造用合板を使用しないことが多いとのことであり、面剛性が不足していることが原因であると考えられます。

写真6 筋かい金物や柱脚金物が無い建物
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写真7 プレファブ造の被害
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写真8 小屋部分の被害
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 伝統構法による建物の被害は概して大きくみえます。構造的には十分に地震に耐えていても土壁が落ちたりすると大破しているようにみえます。伝統構法建物はその変形性能を活かして地震に耐えるため、どうしても変形の痕跡が残ってしまいます。しかし、大した手間をかけなくても修復することができるのです。また、今回の調査で最も不思議だったのが、偏心についてです。一般に偏心していることは良くないことであり、偏心が大きいほど被害は大きくなるといわれています。しかし、大きな変形を許容する伝統構法では、偏心による影響は全く感じられませんでした。水平構面が地震エネルギーを吸収しているとしか考えられません。屋根瓦については、棟が落下すると大被害に見えてしまいます。瓦葺きの工法は阪神淡路大震災の反省からガイドライン工法が普及しており、大被害のものと、(ガイドライン工法で施工されていると思われる)全くの無被害のものに二分されます。

写真9 伝統構法建物の被害
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写真10 偏心の大きな伝統構法建物
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写真11 ガイドライン工法による瓦屋根
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 伝統構法による建物で最もしてはいけないことは、我流による良いとこ取りではないでしょうか。例えば石場建てで基礎に緊結しないのであれば、一切留めつけてはならないし、仕様規定の逆手をとるようなこと(壁があるのに壁倍率にカウントしないなど)をすれば引抜が発生したり、偏心が増すなど、予想外の挙動をすることになり、最悪の場合、人の命を奪うことになります。
 建物、特に住宅は人命を守ることが最大の役目であることを改めて肝に銘じた熊本地震調査でした。(川端建築計画 川端眞)

# by moritomizunokai | 2016-05-08 18:17 | 木造住宅のこと  

皇三重ノ塔建設途中見学会

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「日本一のおかき処」で有名な播磨屋本店が豊の岡工場の敷地内に建立される皇(スメラギ)三重ノ塔の建設途中見学会を行います。兵庫県太子町に現存する室町後期の斑鳩寺三重塔をモデルにした皇三重ノ塔は平成24年から設計にとりかかり、26年春に着工、現在、二重まで組みあがりました。完成してしまうと内部は見学できませんので、是非この機会にご覧ください。皇三重ノ塔には日本で初めてのことがあります。文化財でない新築の塔は当然のことながら建築基準法を守らなければなりませんので、これまで建立された文化財でない塔には塔体が金属によって補強がされていると思います。文化財でも補強されているものがあるくらいです。しかしこの塔には、芯柱の相輪部分と4隅の柱脚にはめた割れ止めのタガ以外、金属の補強は一切なく、伝統構法そのものです。もちろん柱脚は石の上に乗っているだけの石場建てです。(川端建築計画 川端眞)
申し訳ありません。希望者多数の為、申し込みを締め切らせていただきます。(川端建築計画 川端眞)

# by moritomizunokai | 2016-01-13 13:27 | お知らせ  

がっちりマンデーの取材

7月29日、副理事長の宮内さんが「がっちりマンデー」の取材を受けました。取材テーマは「熟成」だそうです。水中乾燥®が熟成と呼べるかは別として、手をかけて素材の良さを最大限に引き出すという意味では、熟成といえなくもないか・・・といった感じです。気楽な情報番組ですので、固いことはいわなくても大丈夫とのことでしたが、熱く熱く語る宮内さんでした。
宮内建築の作業場でひととおりレクチャーしたあと、例によって貯水池に足を運んでもらい、杉丸太が泳いでいるのを見てもらいました。そのあと、週末に見学会を予定している守山市のHさんのお宅も取材されました。たまたまHさん家族が全員お揃いだったので、急遽インタビュー。水中乾燥材へのこだわりを話していただきました。
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最後は流れで、例の「がっちり」をやってしまいました。まったく儲かってないのに・・・。
オンエアは8月31日(日)朝の7:30です。5分程度とのことですが、ご興味のあるかたはご覧ください。(川端建築計画 川端眞)

# by moritomizunokai | 2014-07-30 10:29 | 水中乾燥実験とは